ブラザー・ギランが長崎駅に降り立ったのは、テゼ前日の24日午後9時前のこと。
改札を出てくる、やや小柄のブラザー・ギランは一目ですぐにその方とわかった。
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5人の子供達によって点灯されたキャンドルの数々...
両端の赤い布は聖霊をあらわしている。
高さ7メートルという高低差のなかで、
中央にある十字架像の存在感をひときわ高めていた。 |
ブラザーを最初に待ちわびているのは中町教会の司祭館。その距離はタクシーを呼ぶには少々短く、「タクシーにしますか?」という問いかけに「近いのなら是非歩きたい!」というブラザーの返事に迷わず歩くことになった。一日の喧騒も夜の帳にすっかり形をひそめて、頬をなでる風もなんとも冷やりして心地好い。ご自分で「歩く事務所」と呼ぶ、一ヵ月に及ぶ海外での生活に必要なツールがすべて納まっているバックパックとキャリーケース...いかにも旅慣れた様子だ。
翌日、ブラザー・ギランと企画責任者の野下神父が長崎市小江原の「お告げのマリア修道会本部」の会場に到着したのは午後4時前。野下神父は急遽キャスティングしたクラリネット奏者のためのパート譜を急いでコピーされていて、私とブラザーとでしばらく当日の流れなどについての会話が進んだ。その後、コピーを終えた神父を交えて正式な打合せが始まった。
インストゥルメンタルの面々は日中はそれぞれの仕事があり、全員揃ったのは本番開始の僅か一時間前の5時半頃のこと。それでも昨年も参加した方もいて、本番にはまったく支障はない様子だ。ブラザー・ギランはインストゥルメンタル達の音出しを遠巻きに見ながら、ご自身のスピーチ内容などを繰り返し反芻されている模様だ。
準備で奔走している最中にふと気が付くと、聖堂内に小さな5人の子供達がシスターに率いられて入ってきた。正装に身を包んだ愛らしい子供達で、3人の女の子と2人の男の子だった。本番スタートとともにキャンドルに点火するのが彼らの仕事のようだ。「練習させないと、ちゃんとできるかとても心配です...」とシスターが真剣なまなざしで言っている。そこで直ぐに練習に入ってもらった。
あとから聞いてわかったことだが、彼らのうち2人はキリスト教徒ではなかったという。その父母がともにテゼの会場にいて、その子供達がキャンドルに点火するのを見守ったということを、とてもいい機会だったとシスターは振り返る。
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